蜂のお酒 水上不二
蜂のお酒を飛行機に積んで、
雪にこごえたエスキモーに売りましよ。
林檎のお酒は林檎のにほひ、
牡丹のお酒は牡丹のにほひ。
とても買はなんだら、
おへそをちつくり刺しましよ。
【感想】
第一集の不二の最後の詩は「蜂のお酒」です。写実的な風景が広がるようでした。しかしこの詩は、主の行為、主の蜂への呼びかけという一連と三連が映像化難しい。「蜂のお酒」は「蜂蜜」でしょう。だから、「林檎」「牡丹」の香りなのだ。「雪にこごえたエスキモーに売りましょう」はそのまま生活の営みなのか。主は「養蜂家」で、「エスキモー」と貿易をしていたということだろうか。さらに「買はなんだら」「おへそをちつくり刺しましよ。」(買わなかったら、蜂におへそを刺させますよ)と脅迫してしているのでしょうか。
この「昆虫列車第一集」の巻頭、「昆虫列車点描」「工房日録」を読み返すと、「どうしても読んで欲しい。この同人誌を購入して欲しい。」という不二の思いの表れのように感じる。私なりに考えてみるとこの「お酒」は同人誌「昆虫列車」なのです。それぞれの個性が、「林檎」や「牡丹」なのです。「雪にこごえたエスキモー」は、他の「作家たち」ではないでしょうか。同人たちの思いを「蜂」の「針」にたとえ、「一石を投じたい」思いを表現したかったのではないだろうか。この解釈のほうが、私を納得させる。
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