昆虫列車 第18集 7 箸「スサノヲの命」童謡組曲 日名子丹

⑦ 多くの神々にタカマの原を追放されたスサノヲですが、この段の初連は「タカマの原よ、さよなら、」自分の意志を表現してます。自ら「イヅモの国へ、ひとすぢ。」と、目的地も決めています。と、ここにも「古事記」から省略されている場面があります。地上に降り立つスサノヲはいったいどうなるのか。地上に降りたスサノヲはお腹が減ってしまいます。神様もお腹が減るのですね、びっくりですね。
 それどころか、地上にいた女神に食事を用意させるのです。どうしてそういう展開になるの理解できません。ところが、事態は急変します。やはり、スサノヲのDVは、事件を引き起こします。女神の調理する姿を見てしまったのです。昔、「男子厨房に入らず」ということわざ?を聞いたことがあります。そのことわざは、これに起因しているような気がします。そういえば、他にも「見てはいけないものを見てしまう」とか「見ないで、という約束を破る」そういう物語の結末はハッピーにはなりません。スサノヲは、見てはいけないところを見てしまったのです。その調理の姿が気にくわないということでスサノヲは女神を惨殺してしまうのです。こんなことってありますか。いよいよスサノヲの横暴さが表れました。不二はこの場面を組曲の中には表現しませんでした。子供には見せられない姿だったのでしょうか。多分ネグレクトの防止ですね。彼には、許せない描写だったのでしょう。あぁ、ご覧になりたい方はぜひ「古事記」をお読みください。ふっ。
 ところが、殺された女神の体から、様々な穀物の種が生まれたのです。そうです、スサノヲは穀物の種を手に入れたのです。スサノヲが、農業の神としても言い伝えられるのはこの物語に因るという説もあるそうです。
 さて、第七段です。「タカマの原よ、さよなら。イヅモの国へ、ひとすじ。」イヅモの国といえば、島根県。島根県といえば、出雲国。神無月に全国の神様が集まってしまうという国ですね。でもそれは、だいぶ後のことのようです。「古事記」には記載がありません。
 川上から「箸」が流れてくる。流れてきた方に進んでいくと、泣いている老夫婦がいる。さあ、なぜ泣いているのでしょうか。皆さんがよくご存じの展開になります。
 七音、四音という不思議な構成です。「ヒの川」は「簸川」、「肥河」「斐伊川」とも書くそうです。斐伊川は、中国山地の船通山に源を発し、北に流れ宍道湖に流入する、流域面積約2、550㎢、長さ153㎞の一級河川です。上流で行なわれた「たたら製鉄」で必要な砂鉄を採取するための「鉄穴(かんな)流し」の影響で、川底が周囲の平野よりも高い「天井川」となっているそうです。(引用「出雲観光ガイド」)

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昆虫列車本部昆虫列車17たうがらし
昆虫列車本部昆虫列車181 スサノヲの命(哭<)
昆虫列車本部昆虫列車182 スサノヲの命(まつしくら)
昆虫列車本部昆虫列車183 スサノヲの命(タカマの原)
昆虫列車本部昆虫列車184 スサノヲの命(怒る)
昆虫列車本部昆虫列車185 スサノヲの命(くらやみ)
昆虫列車本部昆虫列車186 スサノヲの命(笑ふ)
昆虫列車本部昆虫列車187 スサノヲの命(箸)
昆虫列車本部昆虫列車188 スサノヲの命(ちから)
昆虫列車本部昆虫列車189 スサノヲの命(酒)
昆虫列車本部昆虫列車1810 スサノヲの命(つるぎ)
昆虫列車本部昆虫列車1811 スサノヲの命(あたらしい土)
昆虫列車本部昆虫列車1812 スサノヲの命(雲)
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この記事を書いた人

詩と童話の世界に魅了され、水上不二の作品をテーマにしたブログを運営しています。子どもの頃に読んだ彼の童話が心に深く刻まれ、それ以来、彼の詩や物語に込められたメッセージを探求し続けています。

文学を学ぶために大学で日本文学を専攻し、卒業後は国語教師として勤務。その後、自分自身の言葉で水上不二の世界を語りたいという思いから、ブログを立ち上げました。

趣味は読書、美術館巡り、そして詩の朗読。特に、水上不二の詩を声に出して読むと、彼の言葉が心に染み渡る瞬間があり、それが私の人生の喜びの一つです。

このブログを通して、水上不二の作品を通じた感動や発見を皆さんと分かち合い、詩と童話の世界を広げていけたらと願っています。

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