九年ぶりの旅– tag –
1956(昭和31)年11月30日から「三陸新報」〈学芸〉に連載された寄稿文である。
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地方紙への寄稿
三陸新報〈学芸〉九年ぶりの旅5
1956(昭和31)年12月6日(木) 九年ぶりの旅5 家について驚いたのは台所の土間がほとんど板敷に変り、子どものころ未明から十三うすも麦をつかされた石うすが姿を消していることであった。“かるうす”と呼んでいたが、あれをどう処理したかをきかずに帰っ... -
地方紙への寄稿
三陸新報〈学芸〉九年ぶりの旅4
1956(昭和31)年12月2日(日) 九年ぶりの旅4 4 夜はみんなの眠るときだ。だれもがベットに横たえて夜行列車の朝を迎えるようになるのは、いつのことであろう。でも、ここで、寝台車は金持や一部の特権階級の占有物であってはならないなどとひらきなおる... -
地方紙への寄稿
三陸新報〈学芸〉九年ぶりの旅2、3
1956(昭和31)年12月1日(土) 九年ぶりの旅2,3 あくる二十三日は、東京駅に接続する鉄道会社の六階に宮城県の事務所を訪ね、ついで文部省へくるまを走らせた。十一月六日の会に講師派遣のことを確かめるためであった。ところが、それについての書類がま... -
地方紙への寄稿
三陸新報〈学芸〉九年ぶりの旅1
1956(昭和31)年11月30日(金) 九年ぶりの旅1 十月二十二日の暁であった。私は床に入って、肩こりを休めていた。 八時過ぎであったろうか。誰かの声が玄関ーといっても、たった一坪しかないところへ本棚がのさばり出ているといったみじめさだがーで、...
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